はじめに
「何かあったときは任せるよ」と言われる親御さんは非常に多いです。我が子を信頼している、ということ自体は素晴らしいことです。
しかし、「親が本当に望んでいること」が何なのか、いざという時になると分からなくなってしまうことがあります。親の本音を汲み取るには、早い段階から対話を重ねることが大切です。この質問集は、そんな対話のきっかけとなることを目指して作りました。
もちろん、ストレートに聞くことが難しいことも多いでしょう。そんな場合は、いろいろな話題の中から気持ちを引き出せると良いですね。
暮らし方・生活のこだわりについて
- □ 今の生活で「失いたくない」と思っていることはありますか?
- □ 自宅での生活をどこまで続けたいと思っていますか?
- □ 介護が必要になったとき、どんな場所でどんな支援を受けたいですか?
例えば、実際に認知症などで本人から希望を聞き出すことができなくなった時、どのようにサポートするのが良いのか?施設に入居させたのは間違いではなかったのか?
お金・財産の扱いについて
- □ お金の管理に関して、誰かに任せたいと考えていますか?
- □ 自分が元気なうちに伝えておきたいお金のことはありますか?
- □ 相続の際に「こうしてほしい」と思っていることはありますか?
具体的なポイントについては、以下の記事もご参照ください。
親に“お金の話”ってどう切り出す?──備えのための上手な聞き方
親とお金の話、切り出す前に整理しておきたい5つのポイント
高齢者を狙った詐欺も増えています。
万が一被害にあったとき「誰にも言えない」とひとりで悩んでしまうことがないように、「支えるよ」という気持ちを伝えられるといいですね。
なるべく元気なうちに、任意後見や家族信託などの制度の活用も検討しましょう。
人とのつながり・感謝について
- □ 今、感謝を伝えたい人がいますか?その思いをどう残しておきたいですか?
- □ 大切にしてきた価値観や信念は何ですか?家族に伝えておきたいことは?
- □ 「自分らしくいられる」と感じるのはどんなときですか?
私自身、父の交友関係について、亡くなった後になって初めて知ったことも少なくありません。
死や看取りについて(特にデリケートなテーマ)
- □ 最期の迎え方について、考えていることがあれば教えてください。
- □ 延命治療について、どのように考えていますか?
- □ 葬儀やお墓について希望はありますか?
※ このセクションは、親の状態や関係性によっては焦らず、時間をかけて聞くようにしましょう。
おわりに
「何を大切にしているか」は、人によって本当にさまざまです。
いざというとき、本人の意思がわからないまま決めなければならないのは、家族にとっても苦しいこと。
「本当にこれで良かったんだろうか……」と、後になっても心に残ってしまうかもしれません。
今のうちから少しずつ、自分の親がどんな価値観を持って生きてきた人なのか、耳を傾けてみませんか。
ある程度思いが決まってきたら、遺言を書いてもらえると理想的。
家族の相続手続きの負担がぐっと軽くなります。