親が判断力を失う前にやっておくべき“名義の棚卸し”チェックリスト

親 判断力 チェックリスト

親の判断力が落ちてからでは、相続の準備は一気に難しくなります。中でも特に多いのが、「親名義のものがどこにどれだけあるのかわからない」というトラブルです。

銀行口座、不動産、保険、契約サービス──いざという時に「探せない」「解約できない」状態にならないよう、元気なうちに一度“名義の棚卸し”をしておくことが大切です。

この記事では“名義の棚卸し”10項目チェックリストとして、親が判断力を失う前にやっておきたいことを整理してみました。「まだ早いかも」と思う今が、じつはいちばん動けるタイミングです。

目次

そもそも「名義の棚卸し」とは?

名義の棚卸しとは、親の名前で登録・契約されているすべての財産・サービス・債務を「見える化」する作業のことです。いざという時、「何がどこにあるか」「誰の名義なのか」がわかるかどうかで、相続の手間もトラブルも大きく変わります。

特に最近は、ネット銀行・スマホ決済・サブスクなど、“紙の通帳に載らない資産”や“デジタル契約”が増えているため、親本人が元気なうちに整理しておくことが何より重要です。

名義の棚卸し

親の判断力があるうちに動く3つのメリット

親に判断力がある元気なうちに財産のことを話題にすることには、以下のようなメリットがあります。

  1. 親本人が説明できるうちに聞ける
    あとで「これ何の契約?」と探すより、本人の口から直接聞ける今のうちがチャンスです。
  2. 手続きの手間を減らせる
    銀行や役所の手続きは、名義人本人が動けるうちが圧倒的にスムーズ。
  3. 家族間の誤解を防げる
    親の意向が明確に共有できていれば、「兄弟で意見が食い違う」などの争いを防げます。

名義の棚卸しチェックリスト(10項目)

チェック項目内容メモ
1.不動産の名義実家・空き家・土地・持ち家の登記簿を確認。共有名義か単独名義かも要チェック
2.預貯金口座メインバンク・定期預金・ゆうちょ口座など ネット銀行も忘れずに
3.証券口座・保険証券会社・投資信託・生命保険・学資保険など 受取人も要確認
4.借入・保証債務ローン・カード・連帯保証の有無を確認
5.年金・給付関係年金の受取口座、公的年金・企業年金などの情報整理
6.公共料金・通信契約電気・ガス・水道・携帯・ネット回線 請求先名義が誰かも重要
7.クレジット・電子決済クレカ・PayPay・楽天ペイなどの自動引き落とし先を確認
8.サブスク・会員契約Amazonプライム、新聞、NHK、各種会員サイトなど 意外と見落としがち
9.デジタル遺品系スマホ・PC・メール・SNS・クラウド保存データ ID・パスワードの一覧を残す
10.貴重品・印鑑・重要書類保管場所と種類を家族が共有しておく 金庫・貸金庫も確認

ポイント:親と一緒に紙のチェックリストを埋めながら話すと、自然に「老後」や「希望」の話題にもつながります。

よくあるつまずきと対処法

親の判断力がしっかりしているからこそ起きることというのもあります。
以下よくあるパターンと対処法をいくつか挙げました。少し時間をかけて根気よく進めてみてください。

「親が話したがらない」場合

「もし何かあったら困るから」と、これからの生活を“守る側”の立場で伝えると柔らかくなります。

また、高齢でもしっかりしていて太刀打ちできない、というような親御さまもいらっしゃいます。
そのような方には、より”前向きな”言葉がけをすると良いかもしれません。
『明日死んでも後悔しないためのノート』は、“死の準備”ではなく“生き方の再発見”を促す構成で、親御さまにも抵抗なく手に取ってもらいやすい1冊です。子の世代にも刺さる内容なので、自身で読んでみてお勧めするというのもアリだと思います。

📘 参考書籍:「あした死んでも後悔したいためのノート」
老後の不安を「感謝」と「整理」に変える本
書きながら、自分や親の価値観・希望を整理しましょう。

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「書類が多すぎて整理できない」場合

最初からあまり完璧を目指さず、「通帳まわりだけ」「不動産だけ」と小分けに進めるのがおすすめ。
例えばシンプルなエンディングノートを用意して、「何かあったときに困らないように、このページだけは書き込んでおいて」とお願いするのも良いかもしれません。

「どこまで共有していいかわからない」場合

お金の話が重く感じるなら、「契約や名義の情報だけ」から始めても十分です。

整理すべきポイントについては、こちらの記事→親とお金の話、切り出す前に整理しておきたい5つのポイントもチェックしてみてください。

親の判断力があるうちに“家族の安心”を確保する

名義の棚卸しは、決して単なる資産整理ではなく、「家族が困らないための優しさ」を形にする作業です。

また、書類を整理するその時間の中で、「この家をどうしたいか」「誰に何を託したいか」という、親の本音がふとこぼれることがあります。それを聞けるのは、いまこの瞬間だけかもしれません。まだ判断力があるうちに一緒に確認しておけば、後から誰かが一人で抱え込むようなことも減らせます。

このような話題についてざっくばらんにお話しできるようにしておくことは、“心の準備”の第一歩でもあります。

次のステップ

名義を整えたあとは、「もしもの時にどう動けるか」も考えておきたいところ。
任意後見や家族信託のような制度について理解を深めるなど、少しずつ具体的な行動を起こしていきましょう。

家族が安心して暮らせるしくみを、少しずつ整える

具体的な行動として、ほとんどのかたに必須とお伝えしているのが「遺言」です。それに加えて、ご家族やお持ちの資産の状況に応じて「家族信託」「任意後見」も検討いただくのが良いかと思います。
「おやとこ」などの家族信託サポートサービスを使うと、専門家と一緒に契約・財産の名義管理を進められます。

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📍関連記事もあわせてチェック

もう少し制度について深く学びたいかたにオススメの関連記事をいくつか挙げておきます。

名義の整理は、“生き方の整理”でもあります。
今日の小さな確認が、明日の安心につながりますように。

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