エンディングノートを書く手が止まってしまった人へ──『あした死んでも後悔しないためのノート』が教えてくれたこと

目次

はじめに

エンディングノートが書けなかった人におすすめしたい一冊

「エンディングノート、書いてみたいけれど、何から始めていいかわからない。」
「書こうとしたけど、手が止まってしまった。」
そんな経験があるかた、いらっしゃいませんか?
実はわたし自身がそうでした。皆さんはいかがでしょうか。
状況や心情に変化があったら書き直すもの、というのはわかるのだけれど。
それにしても、不確定な要素があまりにも多くないですか?
取引先金融機関を書き出ししながら、
「それより、わたし、老後のお金大丈夫かな?」ってことの方が気になりだしちゃったり…。

📝ちょっと身構えていたけれど、読んでよかった

ただ、現在の状況の記録と自分の希望を書き留めておくだけ。
でも、なぜか、なかなか進まない……。
そんな時に手に取ったのが、ひすいこたろうさんの『あした死んでも後悔しないためのノート』でした。
実は正直、「この人、ちょっとスピリチュアル寄りの方でしょ?」と、どこか敬遠していました。
YouTubeなどでお見かけはしていたものの、引き寄せの法則とか言われてもピンとこないしな…と。

でも、実際に読んでみると──
そうか、わたしは全然「死ぬ気で生きて」いなかったんだ――と気づかされました。

死に備えるノートじゃない、「今を生きるためのノート」

そもそも、この本は「エンディングノートの書き方指南書」ではありません。
「死に備えるノート」と見せかけて、「あなたは今をどう生きたいのか」と、そっと問いかけてくれる、“自分との対話ノート”のような存在です。

たとえば、本書ではこんな問いかけが続きます:

  • 死ぬ前に一度はやりたいことは?
  • これだけは失いたくないものは?

そのような問いかけを通じて、「今」に目を向けさせてくれます。

「読む+ワークを行う」ことで、新たな発見や気持ちの変化が生まれる

「死」と向き合うことで、「生」が照らし出される

まず前提として、これはエンディングノートではありません。
ですから、「資産の整理や医療・介護の希望など、事務的なことをまとめておきたい。」
という方には、そのものズバリ「エンディングノート」を探すことをおすすめします。

このノートの魅力は、死を意識しつつ「いまをどう生きるか」を考えさせてくれるところにあります。

  • いま死んだら、どんなことに後悔すると思いますか?
  • いま抱えている悩みは、人生最後の日でも深刻な悩みでしょうか?
  • 謝りたい人はいますか?

そうした「心の棚おろし」をするような問いかけが、優しい言葉で綴られています。

「自分の命の終わりを真剣に意識することが、どう生きたいかを真剣に考えるきっかけとなる。」
これに似た意味の言葉は、多くの有名無名の人たちが残してきていますよね。

しかし、「じゃあ、実践できてるんですか?」って話なんです。
実際、今日が人生最後の日、という気概で過ごしている人はどれほどいるでしょうか。
わたしは、お仕事で家族を突然亡くされた方々とお話しする機会も多いです。
だから、人生がいつ終わるかはわからないことも、よくわかっているつもり。
それでも自分のこととなると、やはり「明日という日はまたくる」って思っている自分に呆れました。

ワークにより心が整理されていく

この本では自分の気持ちに正直に向き合いながら、書き出していくワークもセットで行います。

「書くとは、頭の中を整理整頓することです。」

――ひすいこたろう

もちろん、投げかけられる質問に、丁寧に答えていくのはそれなりに大変な作業です。
でも、自分の価値観を再確認をしているうちに、だんだんと自分の軸が定まっていく感じがあります。
うまく書けなくても、問いと向き合う時間そのものに、きっと意味があるはずです。
わたしも、まだまだ棚卸し作業の真っ最中です。

ワークの中では、思い出したくない出来事があったり、思い浮かべると苦い気持ちになる人がいるかもしれません。
そんな感情にも、居場所を用意してくれています。
たとえば、親をゆるせないという感情を持った人に対する、
「ゆるさなくてもいい。でも、そんなふうに思ってしまう自分をゆるそうね。」
なんていうアドバイスも温かい。

「今、どう生きるか」に意識が戻ってくる

この本で紹介されるワークをしながら、思ったことはたくさんありました。
中でも特に、「思ったより多くのことを先送りにしているな。」と、強く実感しました。

また同時に浮かんできたのは、こんな問いでした。
「あの人とは一生のうちであと何回会うことができるのかな。」
「今後、あの場所に再び訪れる機会はあるのかな。」
そして、自分の中にある小さな欲望を、これからは少しずつ叶えていこうと思うようになりました。

🟨 感じたこと

これは「終活」というより、「生き方の見直しノート」。
自分の人生を、生きている今この瞬間に、あらためて手渡してもらったような気持ちです。

まとめ

エンディングノートに手が止まってしまった人にこそ、このノートを開いてみてほしいと思います。
そして、自分の言葉で「生きること」に向き合う時間を作ってみてください。
きっとそれが結果的に「死に備えること」にもつながっていくはず。
この一冊は、奥に潜む自分の本心を、静かに引き出してくれる気がします。

わたしももう少し試行錯誤してみます。
また何か発見があればこちらで共有しますね。

目次