家族信託を検討し始めると、様々な不安がよぎります。「本当にわが家に合うのか」。そして戸惑いもあります。「誰に相談し、何から始めればいいのか」。
弁護士や司法書士は心強い味方です。ただし、得意分野はそれぞれ異なります。そこで近年は、専門家と依頼者の間をつなぐコンサルティングサービスが増えています。設計から書類作成までを伴走し、費用の見通しや手続きの段取りを整えやすくします。必要な場面で士業への連携もスムーズです。
具体例としては「おやとこ」や「ファミトラ」があります。オンライン中心で進められ、希望があれば対面説明にも対応します。金銭信託に限定されますが、「オリックス銀行」も選択肢です。本記事では「おやとこ」「ファミトラ」「オリックス銀行」の家族信託を徹底比較。費用/相談形態/サポート範囲/安心感の観点から、判断ポイントを整理します。
【早見表】おやとこ/ファミトラ/オリックス銀行の違い
項目 | おやとこ | ファミトラ | オリックス銀行 |
費用の目安 | 約30万~60万円 (金銭信託の場合) コンサルティング費用:信託財産の1.1% 契約書作成費用:6万円〜及び実費 | スタンダードプラン: 30万円~(税抜) (信託財産評価額に応じ変動) ライトプラン: 10万円~(税抜) (平日オンライン限定、財産・設計に制限あり) | 16.5万円 (eダイレクト家族信託の金銭信託の場合) |
対応エリア・拠点 | 全国14拠点 (東京、仙台、大阪、福岡など) | 東京本社、横浜、大阪営業所。全国対応可能 (ライトプランはオンライン限定) | 全国どこでも相談無料(オンライン) |
サポート範囲 | 家族信託設計・契約書作成・専門家紹介・専用アプリによる運用サポート | 家族信託設計・契約書作成・専門家紹介 | 金銭信託限定・信託口口座開設・司法書士による契約書作成 |
安心感/実績 | 新興だが専門家ネットワークあり、利用しやすさ重視 | 知名度が高く利用実績も豊富 | 銀行ブランドの安心感 店舗な「銀行=対面相談」のイメージとズレる場合あり |
向いている人 | 専門家によるサポートで安心したい人 兄弟姉妹との摩擦を軽減しつつ、親世代の生活をサポートしたい人 | 委託者・受託者ともに制度の仕組みをある程度理解したうえで、家族の協力体制も整っている人 価格の手軽さを重視したい人 | オンラインでのやり取りに慣れている人 コストパフォーマンスを重視したい人 手軽に金銭信託契約をしたい人 |
各社の特徴と選ぶポイント(おやとこ/ファミトラ/オリックス銀行)
上記の一覧表からも分かるように、家族信託のサポートといっても、3社で特徴は異なります。『ファミトラ』や『オリックス銀行』は、いずれも比較的シンプルな設計。「金銭信託」を中心に、あらかじめ用意された仕組みに沿って設計していくスタイルが基本です。家族内のトラブルがなく、コストパフォーマンス重視のかたには向いているかもしれません。
一方で『おやとこ』は、経験豊富な専門家チームがバックアップ。各家庭の事情に応じてオーダーメイドの設計を支援してくれるのが特徴です。より細やかな対応、家族への説明や合意形成を重視する方には安心感のあるサービスです。
家族信託は、まだ実務が育ちきっていない分野です。設計の精度で後の運用が変わります。だからこそ、価格だけで決めるのは避けたいところ。専門家のバックアップが前提のサービスなら、初期のつまずきを減らせます。はじめの相談は、おやとこのように専門家連携がある窓口が安心です。
おやとこの特徴と進め方/費用の考え方
- 信託財産の1.1%のコンサルティング料+契約書作成6万円程度
- 家族との情報共有と受託者の負担軽減
まずおやとこの場合です。その特徴は「司法書士等の専門家が開発」した、コンサル+SaaSのハイブリッドということ。家族信託契約組成コンサルに加え、信託受託者の仕事をアプリで支援してくれます。充実した運用サポートが特長と言えます。
──家族信託って優れた制度だけど、受託者になった人は大変だなあ。
わたし自身、初めて家族信託の仕組みを学んだときに感じたことです。契約を作成するサポートはコンサルタントがしてくれるので。しかし、その後実際に長期にわたって運用を担うことになるのは受託者となったご家族。基本的には法律家でもない「ふつうの人」なのですから不安も多いでしょう。アプリによってサポートする仕組みが整っている、というのはかなりポイントが高いです。これにより、お金の動きの透明性を担保。兄弟姉妹と簡単に共有でき、受託者の負担軽減につながります。
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ファミトラの特徴と進め方/費用の考え方
- スタンダードプラン30万円〜
- ライトプラン10万円〜
- 家族信託のパターンを整理して標準化し、お手頃な価格で提供
次にファミトラについても見ていきましょう。こちらは、CEOの三橋氏が「信託DX」で家族の資産課題を解くべく創業した会社。三橋氏は、テクノロジーを使ったビジネス作りを得意としています。テック出身らしく、オンラインを軸に標準化とスケールを狙う設計が強みです。(累計契約資産 約250億円超、累計調達 約24億円の記載あり。)。
三橋氏自身が語っている以下の抜粋文が、特徴をわかりやすく説明してくれています。
「ベテラン家族信託コンサルタントの脳みそを、ITで再現する」
家族信託の守備範囲は極めて広い。この特徴が、逆に仇となっていた。
手順に沿って情報を入力していくだけで、様々な観点でのチェックを経て、安心して家族信託が組成できるようなシステムを作り上げることができれば…、確実に勝てるはずだ、とそう考えた。
───ファミトラCEOプロフィールより
「家族内で争いごとの火種がない。」「万が一に備えておきたいとの考えが親子ともに一致している。」という場合は、同社の提供する「規格」にあてはまるでしょう。ファミトラという選択肢も一考の余地がありそうです。
オリックス銀行eダイレクト家族信託の特徴と進め方/費用の考え方
- 金銭信託組成を165,000円で提供
- 信託口口座の開設、司法書士による信託契約書作成33,000円を含む
最後に、オリックス銀行のeダイレクト家族信託についても確認しておきましょう。信託銀行としての運用・管理の知見に裏打ちされた商品設計が魅力です。また、金銭信託の組成サービス料を16.5万円で固定。シンプルな設計により費用を抑えられるのもポイントです。
「万が一のときに子供に経済的負担をさせないために、余剰資金を信託口口座に移しておく。」というような用途としてはこのようなシンプルなプランも良いのかもしれません。これも家族内の風通しよく兄弟間の争いごとが発生するリスクが少なく、かつ、ある程度金融資産が潤沢である場合は、ということになるでしょう。
選ぶ際の考え方と「おやとこ」を推す理由
比較検討の結果、基本的には「おやとこ」を推しています。確かに、ファミトラやオリックス銀行のように金銭信託特化のサービスは安価で魅力的に映ります。例えば、ひとりっ子である場合には、そのようなサービスを選択するのも良いかもしれません。
ですが、「うちは親や兄弟と揉めてるわけではないし、金銭信託をするだけだから…。」と安易に考えるのは危険です。既に書いたように、家族信託は、まだ実務が育ちきっていない分野です。実務に精通した専門家も少なく、思わぬ落とし穴が潜んでいるかもしれません。経験豊富な専門家のバックアップということで考えると、やはり「おやとこ」一択かな、と感じています。
「費用」より先に「設計の質」と「専門家の関与」をチェックしましょう。

各社ともに、親の合意だけでなく兄弟姉妹との意見調整ができている(揉める要素がない)かどうかを強調するよね。



はい、非常に重要なことですから。考えてみると、自分のものではないお金を扱うって、とってもデリケートなこと。推定相続人全員が合意していないと、争族の火種ともなりかねません。
せっかく家族信託を組んでも、兄弟姉妹間の争いごとを生んでしまったら元も子もないので、慎重に進める必要があります。



本人の合意のもと契約がされ、きちんと管理しているという透明性が担保されていることが大事なんだね。
そう考えると、「おやとこ」のアプリって魅力的だなあ。親の家計簿を、兄弟姉妹で共有しながら管理ができるようなイメージだよね。
合意形成に悩む人のためのガイド
家族の事情で思うように進まない場合もあるでしょう。その場合は伝え方の工夫や、士業の協力を仰ぐことが。以下の手順で整えていきましょう。
親世代への説明の通し方と家族内での合意形成
家族信託でいちばん大切なのは、当事者である親の納得を得ることです。ここが大きな障壁となる場合も多いようです。難しい説明は不要です。「大筋を理解し、納得してもらう」ことを目指しましょう。
目的は“平易な言葉”で伝える
目的を共有するためには、理解できる言葉で、納得のいく説明を心がけるようにします。
たとえば「財産管理を任せて」などの表現は、子どもに主導権を奪われる不安につながりがち。「もし入院や介護になっても、お父さんのお金をお父さんのために使えるように準備したい。」このように伝え方に置き換えると、警戒感が和らぎやすくなります。
話し合いは長時間かけず、小さな家族会議から始めましょう。はじめに家族それぞれの不安を短く出し合います。「備えるために無料相談で費用や段取りを聞きにいこう。」ということに合意してもらうのを最初のゴールにしましょう。家族の意見調整のために、家族信託コンサルタントを上手に利用するのです。第三者の立場からのアドバイスだと、親世代も受け入れやすくなることも多いです。
家族信託では解決できない場合は?
家族信託は万能ではありません。家族内の対立が強い、あるいはその兆しが明確な場合は、無理に進めるべきではありません。仮に進めても紛争の火種を抱えたままの運用は失敗リスクが高くなります。サービス提供業社も強い対立が確認されるとサポート対象外になる場合があります。最初から士業(紛争の解決なら弁護士)に直行したほうが早くて安全ということもあります。
弁護士の相談は無料有料問わず、論点を明確にしてから臨みましょう。相談予約の前に、以下の5つを簡単にまとめておくことをおすすめします。
- 家系図と関係性
- 保有資産の一覧(大まかでOK)
- 火種の経緯
- 優先したい希望(生活費の確保、自宅不動産の扱い、役割分担など)
- 意思決定の期限
やさしい次の一歩
認知症リスク対策は、悩んでいる間に事態が良くなることは残念ながらありません。後悔することがないように正しい行動を起こすことが大切です。迷うときは、まず費用の目安・段取りだけでも確認しておくと良いでしょう。オンラインでも受けられる無料相談で問題解決の第一歩を踏み出しましょう。
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